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今?協力会をつくる、?委員会をつくって目的を明確化するという2つのステップを言いましたが、?番目のステップとして助成金を申請するための体制を整えることです。まず自分たちが考えている事業をするのにどれくらいのお金、予算がいるかを委員会で話し合います。ボランティア活動というのは無償の行為なのでお金はいらないとよく言われるのですが、地域に還元できるきちんとした仕事をするためには、プロとしての才能・運営が必要ですし、そのためには予算が必要になります。ボランティアグループを運営する場合、マネージメントがとても大切な要素になります。よい仕事をするには、ある意味でのプロフェッショナルな才能が必要です。これは決して大学でビジネスクラスをとったりという意味ではありませんが、NPO・ボランティアの組織を運営する時には行政や企業と対等に話をする機会が多いと思います。このような時に自分たちのマネージメントがしっかりしていないと人格を認められません。
そして助成金を申請する場合、アメリカではたいていの場合3年間の助成金を申請するわけですが、この事業によって3年後に地域にどのような変化が起こっているか、事業の効果を事前に予測します。このようにきちんとした評価をすることは、行政・企業を説得する重要な要素になります。ですから、3年後の活動の結果を見通したうえで予算申請をします。
ところで、このようにボランティアの組織が強くなると、行政が仕事をしなくなるのではないか、地域活動に援助の手を差し伸べてくれなくなるのではないかという意見もあります。。私の考えは、行政は私たちの税金を使っているのですから、必要な事は常に住民のために活動してくれます、ただ私たちがボランティアとして力強い運動体をつくることで、行政ができない面で地域を変えていく機能が生まれてきます。私たちボランティアは今のところ、地域でソーシャルワーカーの目や耳になって働いています。例えばソーシャルワーカーたちが時間が足りなくて十分できない部分、それを地域のボランティアがやっています。たとえば在宅介護などで私たちが力を発揮しているおかげで、在宅でも十分楽しく暮らせているお年寄りが多くなりましたし、行政と住民の隙間、ちょうど行政と住民のパイプ役というべき仕事ができていると思います。マイアミでの私たちの目的は、先ほども言いましたが、企業・住民・行政、この輪をより一層つなぐ役目をタイムダラーでやっていきたいと思っています。
●マイアミ「タイムダラー」の活動実績とプログラム
それでは、マイアミでの実際の活動の数字を紹介します。マイアミではタイムダラーを使って63のグループが、いろいろなところでさまざまなプロジェクトを組んでいます。この63のグループは、例えば全米退職者協会(AARP)、教会、自治体、特別養護老人ホームなどの、ボランティアグループと一緒に活動を行っています。例えば教育委員会と一緒になって子どもたちのプログラムをつくったり、HMOという生命保険のグループと健康予防のためのプログラムなど、協働しています。
現在のところ約7000人程のボランティアがおります。そのうち約3500人はボランティアとして協力する一方、利用者でもあります。約1200人は利用のみの人達、約300人は自分がボランティアをした点数を全部寄付しています。残りの1900人がボ

 

 

 

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